教室

学校の放課後

「忘れ物は、たぶん未来からの手紙」

「悠。忘れ物ってさ」 朝だった。 教室にはまだ人が少なく、窓から入る風がカーテンをゆらしている。 春は自分の机を見つめながら、腕を組んでいた。「なんだ」「未来の自分からのメッセージだと思う」「一時間目から何言ってるんだ」 春の机の上には何も...
学校の放課後

「日直は、教室の神様らしい」

「悠。日直って、たぶん教室を守る神様なんだよ」 朝、教室に入ってきた春が、黒板の前で腕を組みながら言った。「朝イチで言うには規模がでかいな」「だって見て」 春は黒板の右上を指差した。 そこにはチョークで書かれた文字。『日直 春・悠』「今日、...
学校の放課後

「風邪薬って、未来を前借りしてる感じしない?」

「悠。風邪薬って、未来を前借りしてる感じしない?」 放課後の教室で、春が唐突に言った。 窓の外では、運動部の掛け声が遠くで跳ねている。 六月前のぬるい風がカーテンを揺らしていて、教室には“帰るにはまだ少し早い空気”が残っていた。「急に怖いこ...
学校の放課後

「二人三脚って、だいたい片方が転ぶ競技だよね」

「悠。二人三脚って、すごい青春っぽい名前してるけど、冷静に考えたら“合法的にもつれる大会”だよね」 朝のホームルーム前。 春は椅子に座ったまま、真顔で言った。「体育祭の種目に対する解像度がおかしい」「だって脚くっつけるんだよ? 普通に歩くの...
日常の不思議

「あくびのタイミング」

「ねえ悠。あくびってさ、体の“再起動”らしいよ」 放課後の教室で、春は窓際に突っ伏したまま言った。「絶対違う情報源から仕入れてるだろ、その知識」「でも実際、あくびしたあとってちょっとスッキリしない?」「それは眠気をごまかされてるだけだ」 春...
学校の放課後

「エアコンの気持ち」

「悠。エアコンって、たまに人生に疲れてるよね」 教室に入ってきた瞬間、春が真顔で言った。「急にどうした」「だって見て。今日のエアコン、“二十四度設定なのに全然やる気ない風”してる」「風に感情を見出すな」 六月の午後だった。 梅雨前の湿気が教...
学校の放課後

「中間テストは、ちょっと未来の自分に会いに行くイベントらしい」

「悠、知ってる?」 朝一番、教室に入ってきた春が言った。「中間テストって、“今の自分の弱点発表会”じゃなくて、“未来の自分へのファンレター”なんだって」「誰が言ってたんだ、その怖い言葉」「今、私」 窓際の席にカバンを投げた春は、なぜかすごく...