学校の放課後

「忘れ物は、たぶん未来からの手紙」

「悠。忘れ物ってさ」 朝だった。 教室にはまだ人が少なく、窓から入る風がカーテンをゆらしている。 春は自分の机を見つめながら、腕を組んでいた。「なんだ」「未来の自分からのメッセージだと思う」「一時間目から何言ってるんだ」 春の机の上には何も...
学校の放課後

「小銭は、たぶん応援団」

放課後だった。 春は自動販売機の前で立ち尽くしていた。 手のひらには、数枚の小銭。 なぜか真剣な顔で見つめている。「何してるんだ」 隣に来た悠が聞く。「小銭って、応援団だと思う」「急に意味がわからない」「だって百円玉一枚だけだと、なんか心細...
学校の放課後

「夕焼けは、たぶん空の帰り道」

「悠。夕焼けってさ」 帰り道だった。 川沿いの道を二人で歩いている。 空はオレンジ色で、遠くの雲までゆっくり染まっていた。「うん」「空が家に帰ってる途中なんだと思う」「どういう状態だよ」 春は夕焼けを見上げたまま続ける。「だって朝は青いじゃ...
学校の放課後

「ポロシャツは、たぶん顔が四つある」

「ねえ悠」 放課後だった。 春は教室の窓に映る自分を見ながら、なぜか真剣な顔をしていた。「ポロシャツってさ」「うん」「服界のコウモリだよね」「急に悪口みたいなこと言うな」 春は振り返った。「だって見てよ。Tシャツほどラフじゃないし、ワイシャ...
学校の放課後

「タイムマシンは、たぶん遅刻するためにある」

「悠。タイムマシンって、絶対ちょっと遅れるよね」 朝だった。 登校中の坂道で、春はいつものようにパンをくわえていた。 今どき漫画でも見ないスタイルだった。「なんでだよ」「だって未来の技術だよ? “すごいです!”って顔してる機械ほど、アップデ...
季節と天気

「浴衣って、歩く“夏”なんだと思う」

「悠。浴衣ってさ、“歩ける季節”だと思わない?」 商店街だった。 夏祭りの準備中らしく、頭の上には提灯が並んでいる。 まだ夕方なのに、空気だけ先に夜祭りの顔をしていた。「意味わからんこと言うな」「だって浴衣の人いると、“あ、夏来た”ってなる...
学校の放課後

「ピアノは、たぶん記憶を踏んでいる」

「悠。ピアノって、“音の階段”だと思わない?」 放課後だった。 音楽室の窓から、夕方の光が床に長く伸びている。 誰もいない教室の真ん中で、春はグランドピアノを見つめていた。「急に詩人みたいなこと言うな」「だって見て。鍵盤、白と黒で交互になっ...
学校の放課後

「参考書は、たぶん未来の自分からの手紙」

「悠。参考書って、“未来の自分の攻略本”なんだよ」 放課後だった。 教室にはまだ夕方の光が残っていて、窓の外では野球部の声が遠くに響いている。 春は机に突っ伏したまま、開きっぱなしの参考書を見ていた。 まったく勉強している姿勢ではない。「そ...
学校の放課後

「ペン回しは、たぶん小さな冒険」

「悠。ペン回しって、“指のサーカス”だと思わない?」 昼休みだった。 窓際の席で、春はシャーペンをくるくる回している。 もちろん、成功してはいない。 五秒に一回くらい床に落ちていた。「サーカスに失礼だろ」「でも見て。今の、“ライオンが火の輪...
学校の放課後

「虫眼鏡って、世界の“やる気スイッチ”だと思う」

「悠。虫眼鏡って、世界を本気にさせる道具だよね」 昼休みだった。 理科準備室の前の廊下で、春がしゃがみ込んでいた。 その手には、なぜか虫眼鏡。「急に危なそうなこと言うな」「見てこれ」 春は床に落ちていたプリントの切れ端を虫眼鏡で見つめている...
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