遊びと趣味

「美術館って、たぶん“静かに騒ぐ場所”なんだと思う」

「悠。美術館って、絵が飾ってある“動かない遊園地”だよね」 美術館に入って三秒で、春がそんなことを言った。「遊園地に謝れ」「でもみんな、すごい顔して歩いてるじゃん」「“鑑賞”って言うんだよ」 休日だった。 駅前の新しい美術館は、白くて広くて...
学校の放課後

「しりとりって、終わらせたら負けな気がする」

「悠。しりとりってさ、“会話を永久機関にしたい人類の夢”だよね」 放課後だった。 教室には、西日のオレンジ色がゆっくり広がっている。 誰もいなくなった教室で、春は机に突っ伏しながら、窓の外を見ていた。「急に壮大だな」「だって、“りんご”って...
学校の放課後

「寝返りって、裏切りっぽい名前してるよね」

「悠。寝返りって、名前がよくないと思う」 昼休みだった。 窓の外では野球部が叫んでいて、教室の後ろでは誰かがプリンを落としていた。 そんな平和な空間で、春は机に突っ伏したまま真顔で言った。「急にどうした」「だって“寝返り”だよ? 寝ながら裏...
学校の放課後

「イヤホンは、世界を半分だけ消す装置」

「悠。イヤホンって、ちょっと失礼だよね」 登校中、春が急に言った。「朝からどういう話題だ」「だってさ、人類って“話しかけないでください”を耳に刺して歩いてるんだよ?」「言い方が物騒なんだよ」 春は片耳だけイヤホンをつけた高校生を見ながら、ふ...
食べ物の話

「クッキーの気持ち」

「悠。お菓子作りって、めちゃくちゃ性格出るよね」 放課後の家庭科室で、春が真顔で言った。「急に心理学みたいな入り方するな」「だってクッキーって、“焼かれる前はみんな平等”なのに、焼かれた瞬間に人生分かれるんだよ?」「クッキーに人生背負わせる...
遊びと趣味

「街路樹は、たぶん街の観葉植物」

「悠。街路樹って、街が寂しがり屋だから植えてるんだと思う」 下校中だった。 夕方の風がぬるくて、信号待ちの車がぼんやり光っている。 歩道の横には、等間隔に並んだ街路樹。 春はその一本を見上げながら、なぜかちょっと感心した顔をしていた。「行政...
学校の放課後

「これはペンです」

「悠。『これはペンです』って、ちょっと強すぎない?」 放課後の教室で、春が突然そう言った。 窓の外では運動部の掛け声が聞こえていて、夕日が黒板をオレンジ色にしている。 俺は英語のワークを閉じた。「何が強いんだよ」「だって、“これはペンです”...
学校の放課後

「明日は我が身」

「悠。“明日は我が身”って、すごい優しい言葉だよね」 昼休み、春は焼きそばパンを持ったまま、急にそんなことを言った。「たぶん使い方、違うぞ」「え?」「普通は“次は自分も同じ目に遭うかもしれない”って意味だ」「うん。だから優しい」「なんでだよ...
学校の放課後

「人生、オートセーブじゃないらしい」

「悠。人生って、たまにセーブし忘れるよね」 放課後の教室で、春が窓の外を見ながら言った。「急に重そうな話するな」「でも実際あるじゃん。あ、“あの時こうしとけばよかった!”ってやつ」「まあ、後悔は誰でもあるけど」「つまり人生にはセーブポイント...
学校の放課後

「日直は、教室の神様らしい」

「悠。日直って、たぶん教室を守る神様なんだよ」 朝、教室に入ってきた春が、黒板の前で腕を組みながら言った。「朝イチで言うには規模がでかいな」「だって見て」 春は黒板の右上を指差した。 そこにはチョークで書かれた文字。『日直 春・悠』「今日、...