普通

学校の放課後

「絶対音感の使い道」

「悠」「なんだ」「たぶん今、世界のどこかでプリンが落ちた」「どういう感知能力だよ」 放課後だった。 窓の外では運動部の掛け声が聞こえていて、教室には夕方特有のオレンジ色が広がっている。 春は机に突っ伏しながら、なぜか天井を見ていた。「今、“...
学校の放課後

「水たまりは、空の落とし物」

「ねえ悠。水たまりって、空のコピーじゃない?」 登校中だった。 昨夜の雨がまだ道路の端に残っていて、春はその前でしゃがみ込んでいる。「朝から詩人みたいなこと言うな」「だって見てよ。空が地面に落ちてる」「ただの雨水だろ」「でも、空って普通は触...
季節と天気

「梅雨って、空が考えごとしてる感じする」

「ねえ悠」 帰り道だった。 制服の袖が少し湿っていて、空はずっと灰色だった。「なんだよ」「梅雨ってさ、“空の低気圧期間”じゃなくて、“空の考えごと期間”な気がする」「急に詩人みたいになるな」 ぽつ、ぽつ、と雨が落ちる。 傘を叩く音が一定すぎ...
食べ物の話

「おいしくな〜れ」

「ねえ悠。“おいしくな〜れ”って、本当に効いてると思う?」 昼休み。 購買で買った焼きそばパンを見つめながら、春が真顔で言った。「急だな」「でもさ、メイドカフェとかでやるじゃん。“おいしくな〜れ♡”って」「行ったことあるみたいな言い方やめろ...
食べ物の話

「唐揚げ定食は、今日も世界を救えない」

「唐揚げ定食って、すごいよね」 昼休み。 購買へ向かう途中、春が急に立ち止まった。「また始まったな」「だって考えてみてよ。唐揚げって、“揚げられてる”のに人気者なんだよ?」「人気者の条件そこなの?」 春は本気の顔だった。 たぶん、本人の中で...