瞬間

日常の不思議

「いらっしゃいませの圧」

「悠。コンビニの“いらっしゃいませ”って、たまに人生より元気だよね」 放課後、商店街のコンビニに入った瞬間、春が言った。「比較対象がでかいな」「だって聞いて。今の店員さん、“いらっしゃいませぇぇぇ!!!”って、ほぼフェスだったよ?」「コンビ...
学校の放課後

「絶対音感の使い道」

「悠」「なんだ」「たぶん今、世界のどこかでプリンが落ちた」「どういう感知能力だよ」 放課後だった。 窓の外では運動部の掛け声が聞こえていて、教室には夕方特有のオレンジ色が広がっている。 春は机に突っ伏しながら、なぜか天井を見ていた。「今、“...
食べ物の話

「流しそうめんは、たぶんスポーツ」

「ねえ悠。流しそうめんってさ」 春は突然、竹を見ながら言った。「絶対、“食事”じゃなくて“競技”だよね」「そうめんに失礼だろ」 夏祭りの準備だった。 商店街の端っこで、自治会のおじさんたちが竹を割っている。僕と春はその横で、なぜか流しそうめ...
日常の不思議

「回れ右の才能」

「ねえ悠。人生って、たまには“回れ右”した方がいいと思うんだよね」 帰り道だった。 部活終わりの夕方。 オレンジ色の光が住宅街を長く伸ばしていて、春はその真ん中をぴょこぴょこ歩いている。「急にどうした」「だってさ。みんな“前へ進め”ばっかり...