日常の不思議

食べ物の話

「おいしくな〜れ」

「ねえ悠。“おいしくな〜れ”って、本当に効いてると思う?」 昼休み。 購買で買った焼きそばパンを見つめながら、春が真顔で言った。「急だな」「でもさ、メイドカフェとかでやるじゃん。“おいしくな〜れ♡”って」「行ったことあるみたいな言い方やめろ...
日常の不思議

「あくびのタイミング」

「ねえ悠。あくびってさ、体の“再起動”らしいよ」 放課後の教室で、春は窓際に突っ伏したまま言った。「絶対違う情報源から仕入れてるだろ、その知識」「でも実際、あくびしたあとってちょっとスッキリしない?」「それは眠気をごまかされてるだけだ」 春...
日常の不思議

「二階から目薬」

「ねえ悠。“二階から目薬”って、挑戦する人を笑いすぎだと思わない?」 放課後、春は急にそんなことを言った。「急だな。あと、ことわざに怒るな」「でもさ、“そんなの無理だよ”って意味で使うじゃん?」「まあ、だいたいそうだな」 春は歩道橋の階段を...
日常の不思議

「回れ右の才能」

「ねえ悠。人生って、たまには“回れ右”した方がいいと思うんだよね」 帰り道だった。 部活終わりの夕方。 オレンジ色の光が住宅街を長く伸ばしていて、春はその真ん中をぴょこぴょこ歩いている。「急にどうした」「だってさ。みんな“前へ進め”ばっかり...
日常の不思議

「ダイヤモンドは落ちてない」

「悠、ダイヤモンドってさ」 帰り道、春が突然しゃがみこんだ。「たまに道に落ちてたりしないのかな」「落ちてないよ。石ころみたいに言うな」 春はアスファルトをじっと見つめたまま、「でも可能性はゼロじゃないよね」と真顔で言った。 六月の夕方だった...
日常の不思議

「色鉛筆は、たぶん性格が出る」

「ねえ悠。白の色鉛筆って、なんのためにあるんだろうね」 放課後だった。 美術室の窓から、夕方の光が斜めに差している。 机の上には、使いかけの色鉛筆が散らばっていた。「紙が白なんだから、描いても見えないじゃん」 春は真剣な顔で白色鉛筆を掲げて...
日常の不思議

「歯磨きは、戦いだ」

「悠、知ってる?」 昼休み、春は突然真顔で言った。「歯磨きって、毎日やってるのに毎日負けるんだよ」「何に?」「食べカスに」「スケールが小さい戦争だな」 春はパンをもぐもぐしながら頷く。「しかも向こう、めちゃくちゃ隠れるの上手い」「まあ、奥歯...
季節と天気

「森林浴って、森に褒められることらしいよ」

「ねえ悠。森林浴ってさ」 帰り道。 春は突然、道端の街路樹を見上げた。「なんだよ」「森に“よく来たね〜”って癒やされることらしいよ」「違うと思う」「えっ」「たぶんもっと科学的なやつだろ。木の香りとか、空気とか」「つまり森の接客?」「急に安っ...