食べ物の話

食べ物の話

「クッキーの気持ち」

「悠。お菓子作りって、めちゃくちゃ性格出るよね」 放課後の家庭科室で、春が真顔で言った。「急に心理学みたいな入り方するな」「だってクッキーって、“焼かれる前はみんな平等”なのに、焼かれた瞬間に人生分かれるんだよ?」「クッキーに人生背負わせる...
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「流しそうめんは、たぶんスポーツ」

「ねえ悠。流しそうめんってさ」 春は突然、竹を見ながら言った。「絶対、“食事”じゃなくて“競技”だよね」「そうめんに失礼だろ」 夏祭りの準備だった。 商店街の端っこで、自治会のおじさんたちが竹を割っている。僕と春はその横で、なぜか流しそうめ...
食べ物の話

「おいしくな〜れ」

「ねえ悠。“おいしくな〜れ”って、本当に効いてると思う?」 昼休み。 購買で買った焼きそばパンを見つめながら、春が真顔で言った。「急だな」「でもさ、メイドカフェとかでやるじゃん。“おいしくな〜れ♡”って」「行ったことあるみたいな言い方やめろ...
学校の放課後

「ティータイムは戦場だった」

「ねえ悠。紅茶って、ちょっと偉そうじゃない?」 放課後のファミレスで、春は突然そんなことを言った。「第一声がそれ?」「だって見てよ。“ティータイム”だよ? おやつの時間なのに、なんか貴族感ある」「お前、“おやつ”に貴族感求めてないだろ」 春...
食べ物の話

「コロッケはたぶん丸い気持ち」

「ねえ悠」 帰り道だった。「コロッケって、“許してくる感じ”あるよね」「何その圧のない宗教みたいな言い方」 商店街の夕方は、油の匂いがする。 肉屋の前を通るたびに、春は吸い寄せられるみたいに立ち止まる。今日もショーケースの前で、完全に猫だっ...
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「三時のおやつはだいたい世界を救う」

「悠。知ってる?」 放課後、春は購買のクリームパンを見つめながら言った。「人間の機嫌って、だいたい三時で決まるらしいよ」「初めて聞いたな、その学説」「だから三時のおやつって重要なんだよ。文明」「規模が急にでかい」 教室には夕方前の光が斜めに...
食べ物の話

「唐揚げ定食は、今日も世界を救えない」

「唐揚げ定食って、すごいよね」 昼休み。 購買へ向かう途中、春が急に立ち止まった。「また始まったな」「だって考えてみてよ。唐揚げって、“揚げられてる”のに人気者なんだよ?」「人気者の条件そこなの?」 春は本気の顔だった。 たぶん、本人の中で...