世界

学校の放課後

「参考書は、たぶん未来の自分からの手紙」

「悠。参考書って、“未来の自分の攻略本”なんだよ」 放課後だった。 教室にはまだ夕方の光が残っていて、窓の外では野球部の声が遠くに響いている。 春は机に突っ伏したまま、開きっぱなしの参考書を見ていた。 まったく勉強している姿勢ではない。「そ...
学校の放課後

「イヤホンは、世界を半分だけ消す装置」

「悠。イヤホンって、ちょっと失礼だよね」 登校中、春が急に言った。「朝からどういう話題だ」「だってさ、人類って“話しかけないでください”を耳に刺して歩いてるんだよ?」「言い方が物騒なんだよ」 春は片耳だけイヤホンをつけた高校生を見ながら、ふ...
学校の放課後

「これはペンです」

「悠。『これはペンです』って、ちょっと強すぎない?」 放課後の教室で、春が突然そう言った。 窓の外では運動部の掛け声が聞こえていて、夕日が黒板をオレンジ色にしている。 俺は英語のワークを閉じた。「何が強いんだよ」「だって、“これはペンです”...
学校の放課後

「ラッキーナンバー」

「悠。人には“ラッキーナンバー”があるじゃん?」 放課後、春は急にそんなことを言った。 しかも、自販機の前で。「急に占い師みたいな話始めたな」「違う違う。もっと現実的なやつ」「現実的なラッキーナンバーって何だよ」 春は真顔で缶ココアを押した...
学校の放課後

「募金箱って、たまに試されてる気がする」

「悠。募金箱って、たまに人間性テストしてない?」 コンビニを出た瞬間、春が真顔で言った。「してない。あれは募金を集める箱だ」「でも絶妙な位置にあるじゃん。レジ終わった直後の、“いい人になれるラストチャンス”みたいな場所に」「言い方が通販サイ...
日常の不思議

「図鑑って、“世界のネタバレ本”じゃない?」

「図鑑ってさ」 帰り道、春が急に立ち止まった。「“世界のネタバレ本”だよね」「急にスケールがでかいな」 悠は自転車を押しながらため息をつく。「だって見てよ。“カブトムシは夜行性です”とか、“ペンギンは飛べません”とか書いてるんだよ?」「うん...
学校の放課後

「勇者って、たぶんコンビニにもいる」

「ねえ悠。勇者って、何を基準に選ばれてると思う?」 放課後、コンビニの前だった。 春はアイスを片手に、急に世界の核心みたいなことを言い始めた。「知らないけど。剣抜いたやつとかじゃないの」「でもさ、あれ絶対“たまたま抜けた人”いるよね」「夢壊...