【女勇者フェルミノ 第20話】鑑定料は、宝物より先に確定する

鑑定所のカウンターで青い石の指輪と硬貨を見比べる黒髪の女勇者フェルミノ 女勇者フェルミノ

廃鉱の調査を終えたフェルミノは、出口の簡易鑑定所に立ち寄った。

カウンターの前で、若い冒険者が大きな袋をひっくり返している。

さびたスプーン、欠けた杯、曲がった釘、緑色の石。カウンターが埋まった。

「これ、全部鑑定してくれ!」

鑑定士は、丸い眼鏡の奥でまばたきした。

「一点につき十ゴールドです」

「八点だから、八十ゴールドか。宝物なんだ。それくらい払える」

フェルミノは、カウンターの可哀想なスプーンを見た。

「まず、鑑定後の買い取り価格を予想できますか」

「本物かどうかを調べるのが鑑定だろ?」

「はい。ですから、十ゴールド未満にしかならない物へ十ゴールド払う可能性もあります」

若い冒険者の手が、財布の直前で止まった。

「宝物なのに?」

「宝物かどうかが、まだ分からないのです」

鑑定士が小さくうなずいた。

「残念ながら、その通りです」

フェルミノは自分の掌を開いた。青い石のはまった古い指輪が一つ、乗っている。

「私はこれだけお願いします」

「一つだけ? 鉱山にはもっとあっただろ」

「ありました。ただ、さびた鉄器を全部運ぶと、帰り道が重くなります」

「宝物を捨てたのか?」

「鑑定料の候補を置いてきました」

鑑定士は指輪を受け取り、ルーペを近づけた。石を光に透かし、内側の刻印を細い針でなぞる。

「古いお守りの指輪です。買い取りは四十五ゴールド」

フェルミノは鑑定料の十ゴールドを払った。

「では、その価格で売却します」

差し引き三十五ゴールド。フェルミノは受け取った硬貨を数え、静かに財布へしまった。

その隣で、若い冒険者は八点の山とにらみ合っていた。

「どれが当たりなんだ……」

「全部鑑定すれば分かります」

鑑定士が言った。

「全部鑑定すると、当たりがあっても負けるかもしれません」

フェルミノが言った。

若い冒険者は長く悩んだ末、まず緑色の石を持ち上げた。

「じゃあ、一番宝物っぽいこれを」

鑑定台で苔のついた小石を見る若い冒険者と、財布をしまいながら見守る女勇者フェルミノ

鑑定士は十ゴールドを受け取り、緑色の石をひと目見た。

「苔のついた小石です」

フェルミノは、自分が鉱山に置いてきた緑色の石を思い出した。

「持って帰らなくてよかったです」

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