廃鉱の調査を終えたフェルミノは、出口の簡易鑑定所に立ち寄った。
カウンターの前で、若い冒険者が大きな袋をひっくり返している。
さびたスプーン、欠けた杯、曲がった釘、緑色の石。カウンターが埋まった。
「これ、全部鑑定してくれ!」
鑑定士は、丸い眼鏡の奥でまばたきした。
「一点につき十ゴールドです」
「八点だから、八十ゴールドか。宝物なんだ。それくらい払える」
フェルミノは、カウンターの可哀想なスプーンを見た。
「まず、鑑定後の買い取り価格を予想できますか」
「本物かどうかを調べるのが鑑定だろ?」
「はい。ですから、十ゴールド未満にしかならない物へ十ゴールド払う可能性もあります」
若い冒険者の手が、財布の直前で止まった。
「宝物なのに?」
「宝物かどうかが、まだ分からないのです」
鑑定士が小さくうなずいた。
「残念ながら、その通りです」
フェルミノは自分の掌を開いた。青い石のはまった古い指輪が一つ、乗っている。
「私はこれだけお願いします」
「一つだけ? 鉱山にはもっとあっただろ」
「ありました。ただ、さびた鉄器を全部運ぶと、帰り道が重くなります」
「宝物を捨てたのか?」
「鑑定料の候補を置いてきました」
鑑定士は指輪を受け取り、ルーペを近づけた。石を光に透かし、内側の刻印を細い針でなぞる。
「古いお守りの指輪です。買い取りは四十五ゴールド」
フェルミノは鑑定料の十ゴールドを払った。
「では、その価格で売却します」
差し引き三十五ゴールド。フェルミノは受け取った硬貨を数え、静かに財布へしまった。
その隣で、若い冒険者は八点の山とにらみ合っていた。
「どれが当たりなんだ……」
「全部鑑定すれば分かります」
鑑定士が言った。
「全部鑑定すると、当たりがあっても負けるかもしれません」
フェルミノが言った。
若い冒険者は長く悩んだ末、まず緑色の石を持ち上げた。
「じゃあ、一番宝物っぽいこれを」

鑑定士は十ゴールドを受け取り、緑色の石をひと目見た。
「苔のついた小石です」
フェルミノは、自分が鉱山に置いてきた緑色の石を思い出した。
「持って帰らなくてよかったです」
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