春と悠シリーズ

春と悠シリーズ

「クッキーの気持ち」

「悠。お菓子作りって、めちゃくちゃ性格出るよね」 放課後の家庭科室で、春が真顔で言った。「急に心理学みたいな入り方するな」「だってクッキーって、“焼かれる前はみんな平等”なのに、焼かれた瞬間に人生分かれるんだよ?」「クッキーに人生背負わせる...
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「街路樹は、たぶん街の観葉植物」

「悠。街路樹って、街が寂しがり屋だから植えてるんだと思う」 下校中だった。 夕方の風がぬるくて、信号待ちの車がぼんやり光っている。 歩道の横には、等間隔に並んだ街路樹。 春はその一本を見上げながら、なぜかちょっと感心した顔をしていた。「行政...
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「これはペンです」

「悠。『これはペンです』って、ちょっと強すぎない?」 放課後の教室で、春が突然そう言った。 窓の外では運動部の掛け声が聞こえていて、夕日が黒板をオレンジ色にしている。 俺は英語のワークを閉じた。「何が強いんだよ」「だって、“これはペンです”...
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「明日は我が身」

「悠。“明日は我が身”って、すごい優しい言葉だよね」 昼休み、春は焼きそばパンを持ったまま、急にそんなことを言った。「たぶん使い方、違うぞ」「え?」「普通は“次は自分も同じ目に遭うかもしれない”って意味だ」「うん。だから優しい」「なんでだよ...
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「人生、オートセーブじゃないらしい」

「悠。人生って、たまにセーブし忘れるよね」 放課後の教室で、春が窓の外を見ながら言った。「急に重そうな話するな」「でも実際あるじゃん。あ、“あの時こうしとけばよかった!”ってやつ」「まあ、後悔は誰でもあるけど」「つまり人生にはセーブポイント...
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「日直は、教室の神様らしい」

「悠。日直って、たぶん教室を守る神様なんだよ」 朝、教室に入ってきた春が、黒板の前で腕を組みながら言った。「朝イチで言うには規模がでかいな」「だって見て」 春は黒板の右上を指差した。 そこにはチョークで書かれた文字。『日直 春・悠』「今日、...
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「いらっしゃいませの圧」

「悠。コンビニの“いらっしゃいませ”って、たまに人生より元気だよね」 放課後、商店街のコンビニに入った瞬間、春が言った。「比較対象がでかいな」「だって聞いて。今の店員さん、“いらっしゃいませぇぇぇ!!!”って、ほぼフェスだったよ?」「コンビ...
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「読み聞かせは、たぶん戦い」

「悠。読み聞かせってさ」 放課後の図書室で、春が急に言った。「人類が“声”に課金した最初の文化だよね」「急に文明史みたいに言うな」 六月の図書室は静かだった。 窓の外では運動部の声が遠くに聞こえていて、カーテンが少しだけ揺れている。 春は絵...
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「風邪薬って、未来を前借りしてる感じしない?」

「悠。風邪薬って、未来を前借りしてる感じしない?」 放課後の教室で、春が唐突に言った。 窓の外では、運動部の掛け声が遠くで跳ねている。 六月前のぬるい風がカーテンを揺らしていて、教室には“帰るにはまだ少し早い空気”が残っていた。「急に怖いこ...
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「二人三脚って、だいたい片方が転ぶ競技だよね」

「悠。二人三脚って、すごい青春っぽい名前してるけど、冷静に考えたら“合法的にもつれる大会”だよね」 朝のホームルーム前。 春は椅子に座ったまま、真顔で言った。「体育祭の種目に対する解像度がおかしい」「だって脚くっつけるんだよ? 普通に歩くの...
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