日常の不思議

「図鑑って、“世界のネタバレ本”じゃない?」

「図鑑ってさ」 帰り道、春が急に立ち止まった。「“世界のネタバレ本”だよね」「急にスケールがでかいな」 悠は自転車を押しながらため息をつく。「だって見てよ。“カブトムシは夜行性です”とか、“ペンギンは飛べません”とか書いてるんだよ?」「うん...
季節と天気

「日光浴は、太陽との雑談らしい」

「日光浴ってさ」春がベンチに寝転がったまま言った。「人間が“今日は光を浴びようかな〜”ってしてるの、ちょっと植物寄りだよね」「最初の一言から分類学がおかしい」放課後の公園だった。ブランコは風だけで揺れていて、遠くで小学生がドッジボールをして...
遊びと趣味

「片付けって、“過去の自分”との交渉らしい」

「片付けってさ、“物を捨てる作業”じゃないんだよ」 放課後。 春は俺の部屋の床に座り込み、なぜかゲームの空箱を神妙な顔で見つめていた。「じゃあ何だよ」「“過去の自分との話し合い”」「急に重いな」 床には漫画、プリント、謎のコード類、片方だけ...
学校の放課後

「水たまりは、空の落とし物」

「ねえ悠。水たまりって、空のコピーじゃない?」 登校中だった。 昨夜の雨がまだ道路の端に残っていて、春はその前でしゃがみ込んでいる。「朝から詩人みたいなこと言うな」「だって見てよ。空が地面に落ちてる」「ただの雨水だろ」「でも、空って普通は触...
遊びと趣味

「動物園って、たぶん“見る側”の檻なんだよ」

「ねえ悠。動物園ってさ」 春が急に立ち止まった。「なんだよ」「動物からしたら、“人間園”でもあるよね」「最初から哲学っぽく入るな」 五月の午後だった。 休日の動物園は、子どもの声とポップコーンの匂いで満ちている。 キリンを見て騒ぐ子ども。 ...
遊びと趣味

「ラジオは、たぶん孤独に話しかけてる」

「ねえ悠。ラジオってさ」 帰り道、春は自販機の前で立ち止まった。「知らない人が、知らない人に向かって、ずっと喋ってるんだよ」「急にラジオの核心みたいなこと言うな」「しかも深夜二時とかに」「時間まで限定するな。なんか寂しくなるだろ」 春はコー...
学校の放課後

「勇者って、たぶんコンビニにもいる」

「ねえ悠。勇者って、何を基準に選ばれてると思う?」 放課後、コンビニの前だった。 春はアイスを片手に、急に世界の核心みたいなことを言い始めた。「知らないけど。剣抜いたやつとかじゃないの」「でもさ、あれ絶対“たまたま抜けた人”いるよね」「夢壊...
学校の放課後

「スマホの充電が1%になると、人は優しくなる」

「ねえ悠」 帰り道、春が急にスマホを掲げた。「スマホの充電1%って、人間の本性出るよね」「急に怖い話始めるな」「だってさ、普段はどうでもいい動画とか見てるのに、1%になると急に慎重になるじゃん」「あー……まあ、それは分かる」「“今、本当に必...
学校の放課後

「伸びしろの定義」

「ねえ悠。ストレッチって、身体が“びっくりしてる時間”らしいよ」 帰り道だった。 部活帰りの高校生たちが自転車で坂を下っていく横を、僕と春はだらだら歩いていた。「誰情報だよ、それ」「私」「発信源が雑すぎる」 春は歩きながら、突然アキレス腱を...
季節と天気

「梅雨って、空が考えごとしてる感じする」

「ねえ悠」 帰り道だった。 制服の袖が少し湿っていて、空はずっと灰色だった。「なんだよ」「梅雨ってさ、“空の低気圧期間”じゃなくて、“空の考えごと期間”な気がする」「急に詩人みたいになるな」 ぽつ、ぽつ、と雨が落ちる。 傘を叩く音が一定すぎ...