放課後、春と図書館へ寄った。
俺が借りていた小説を返却カウンターへ置くと、春は裏の期限票を見た。
「ねぇ悠。返却期限って、本の門限だよね」
「借りた人の期限だろ」
「でも、帰ってくるのは本の方だよ」
「自分では帰れないけどな」
司書がバーコードを読み取り、電子音が鳴った。これで返却済みだ。
春はほっと息を吐く。
「間に合った」
「俺が返した本だぞ」
「門限までに送り届けた気分」
本はカウンター内の台車へ置かれた。
「帰ったのに、まだ本棚へ行かないんだ」
「司書さんが戻すからな」
「門限に間に合えば、玄関で待っててもいいの?」
「返却処理が済んだからな」
春は台車へ小さく手を振る。
「おかえり」
「春の本じゃないけどな」
図書館の奥で、春は動物図鑑、パンの本、雲の写真集を選んだ。閲覧席に並べると、貸出期限はいずれも二週間後だった。

「三冊とも同じ門限なんだね」
「今日借りるからな」
「家に置いた瞬間から、門限までの時間が減っていく」
「その前に読めばいい」
春は三冊の厚さを見比べる。
「一日一冊なら、すぐ終わる」
「今までその予定で終わったことあるか?」
春は写真集を開いた。
「これは写真だけだから、すぐ読める」
「写真を見る時間も入れろ」
貸出カウンターで電子音が三回鳴った。春は貸出票を見ながら、三冊をバッグへ入れる。
「ちゃんと門限までに連れてくるよ」
「先に読めよ」
図書館を出てすぐ、春が止まった。
「間に合わなそうなら、延長できるよね」
「予約がなければな」
「じゃあ今から延長しておこうかな」
「借りたばかりだぞ」
春はバッグを抱え直した。
「門限があると、破る準備も早くなるね」
「読む準備を早くしろ」
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