春と悠シリーズ

「中間テストは、ちょっと未来の自分に会いに行くイベントらしい」

「悠、知ってる?」 朝一番、教室に入ってきた春が言った。「中間テストって、“今の自分の弱点発表会”じゃなくて、“未来の自分へのファンレター”なんだって」「誰が言ってたんだ、その怖い言葉」「今、私」 窓際の席にカバンを投げた春は、なぜかすごく...
春と悠シリーズ

「ゴールデンウィークは、どこにも行かないのが一番遠い」

「悠、ゴールデンウィークってさ」 朝のホームルーム前、春は窓際で空を見ながら言った。「五回くらい“黄金”って言ってるのに、全然キラキラしてないよね」「名前の話?」「うん。もっと街とか金色にするべきだと思う」「景観条例で止められるだろ」 春は...
春と悠シリーズ

「唐揚げ定食は、今日も世界を救えない」

「唐揚げ定食って、すごいよね」 昼休み。 購買へ向かう途中、春が急に立ち止まった。「また始まったな」「だって考えてみてよ。唐揚げって、“揚げられてる”のに人気者なんだよ?」「人気者の条件そこなの?」 春は本気の顔だった。 たぶん、本人の中で...
春と悠シリーズ

「B型って、自由ってこと?」

「悠って、絶対A型だよね」 昼休み、購買の焼きそばパンを半分に折った瞬間、春がそんなことを言った。「いや急だな」「え、違うの?」「違うけど」「えっ」 春は本当に驚いた顔をした。 たぶん、世界の重力が急に逆になったくらい驚いている。「じゃあ何...
春と悠シリーズ

「森林浴って、森に褒められることらしいよ」

「ねえ悠。森林浴ってさ」 帰り道。 春は突然、道端の街路樹を見上げた。「なんだよ」「森に“よく来たね〜”って癒やされることらしいよ」「違うと思う」「えっ」「たぶんもっと科学的なやつだろ。木の香りとか、空気とか」「つまり森の接客?」「急に安っ...
春と悠シリーズ

「母の日の作戦会議」

「悠、母の日ってさ」 昼休み。 俺がパンを食べていると、春が突然そんなことを言った。「一年で一番、“ありがとう”が許される日だと思うんだよね」「普段から言えばいいだろ」「普段だと照れるじゃん」「それはまあ……少しは」「だからイベント化するの...
春と悠シリーズ

「アサガオは、昨日を覚えている」

「悠、起きて。アサガオが反省会してる」 夏休み初日の朝七時。 幼馴染に叩き起こされた理由としては、かなり意味がわからなかった。「……何それ」「昨日の夕方、しおれてたでしょ?」「植物だからな」「でも今めちゃくちゃ咲いてる。つまり、“昨日はすみ...
春と悠シリーズ

「素直じゃない座」

「ねえ悠。星座ってさ、誰が決めたんだろうね」 帰り道、春は急に空を見上げた。「急だな。あと、それは普通に昔の人だろ」「すごくない? 点を線でつないで“あれはライオンです”って言い切る精神」「たしかに勢いはあるけど」 六月の夜だった。 住宅街...
春と悠シリーズ

「じゃんけんは、人生の縮図!?」

「ねえ悠、じゃんけんってさ」 放課後の教室で、春は窓の外を見ながら言った。「人生の縮図だと思わない?」「急に重いな」 夕日が机をオレンジ色に染めている。 部活に行った連中の声が遠くから聞こえる中、春だけがやけに真剣な顔をしていた。「だってさ...
春と悠シリーズ

「友達ってどこから友達?」

「悠」「ん?」「友達って、どこから友達なんだろうね」 放課後の教室だった。 春は椅子をぐらぐら揺らしながら、窓の外を見ている。「まずお前は椅子との友情を大事にしろ」「これは信頼関係だから」「その信頼、今にも壊れそうだけど」 ギシッ、と椅子が...
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